労災保険(労働者災害補償保険)の保険給付とその仕組みをわかりやすく解説いたします。もしもの業務災害・通勤災害にご活用ください。
よくわかる労災保険
HOME » 労災ニュース » 舞台俳優・加藤大善氏、石綿による中皮腫で労災認定

舞台俳優・加藤大善氏、石綿による中皮腫で労災認定


2016年4月に中皮腫で亡くなった舞台俳優の加藤大善さんについて、7月10日付で労災認定されたことが、2018年12月19日、遺族によって発表されました。

加藤大善さんは、1974年から1980年まで、『劇団東京芸術座』に所属。

俳優として舞台に立つ傍ら、裏方として天井に照明機材を設置する仕事も手伝っていました。

その際、天井に石綿(アスベスト)が吹き付けられた体育館や市民会館もあり、石綿を吸い込んでしまったのです。

当時は、石綿の危険性が認識されていない時代だったので、石綿を吸わない対策を取らなかったことは仕方ありません。

その結果、加藤大善さんは、劇団退団後の2014年12月に胸膜中皮腫(胸腔の内側を覆う膜にできるガン)を発症し、2016年4月に亡くなりました。

その後、加藤大善さんの遺族が労災申請し、2018年7月10日付で池袋労働基準監督署に労災認定されています。

舞台俳優初の石綿被害による労災認定

加藤大善さんの労災認定は、妻・みはるさんや長女らの記者会見によって明らかになりました。

みはるさんは、「どこで石綿を吸ったのか分からずに発症した人たちもいるはず。そうした人たちが思い立つ契機になれば」との思いで、記者会見を開いています。

実際、加藤大善さんは、「石綿を吸った場所は不明」「劇団との雇用契約は結んでおらず、労災保険の対象外」でしたが、労災認定されました。

加藤大善さんが、石綿被害による労災認定を受けた初めての舞台俳優です。

したがって、「古い体育館などで作業した経験」と「肺がんや中皮腫などの発症」がある人は、諦めずに労災申請することを検討しましょう。


関連記事

2017年11月に亡くなった進学塾『栄光・個別ビザビ』の元男性社員について、2018年11月15日付で過労死により労災認定を受けたことが、...


1954年にアメリカが太平洋ビキニ環礁で行った水爆実験により、癌や白血病などの健康被害に遭ったとして、高知県の元船員6人、遺族4人、宮城県...


2018年5月25日、野党が反対する中、働き方改革関連法案が、衆院厚生労働委員会で可決されました。 週明けにも衆議院を通過し、施行さ...


テレビ朝日でドラマ制作に携わる男性プロデューサーが2015年2月に亡くなった際、三田労働基準監督署が労災認定していたことが、2018年5月...


2016年に自ら命を絶ったエーザイの元部長・泰敬さんが、2019年2月28日付で労災認定されたことが明らかになりました。 泰敬さんの...



コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

最新記事

労災認定の基準

行為中は通勤でなくてもその後に元の道に戻った時は通勤とみなされる「日常生活上必...

労災認定の基準

出勤・退社時に行うささいな事は逸脱・中断とはみなされず、通勤として扱われます。...

労災認定の基準

飲食店に立ち寄り、その後の帰宅途中で災害に遭った場合は、その時の立場によって通...

労災認定の基準

単身赴任している場合、相応の理由があれば、赴任先住居と帰省先住所の移動中の傷病...

労災認定の基準

仕事の掛持ちで2つの会社の移動中に災害に遭った場合も、条件を満たせば通勤災害と...

労災保険カテゴリー

社労士試験

サイト情報