労災で休業中の高齢パート女性に退職勧奨する会社
横浜市のビルメンテナンス会社に勤務する高齢パート女性の業務中の大ケガについて、労災認定されたことが、2018年12月20日に明らかとなりました。
しかも、この女性は、会社から退職勧奨を受けていたことも判明してます。
2018年時点で69歳であるパート女性は、清掃作業中に階段から転落し、頭部外傷、首や足の骨折、歯の抜去などの大ケガを負いました。
仕事中のケガで、故意に負ったわけではないので、当然、労災保険の適用を受けます。
そのため、労災申請しようとしましたが、本人や家族が何度依頼しても、会社は3ヶ月間に渡り手続きせず、挙句の果てに、「辞めてほしい」と電話で退職勧奨してきたのです。
切羽詰まったパート女性は、『総合サポートユニオン』に家族と共に加入し、この組織と会社のやり取りによって、やっと労災申請でき、横浜南労働基準監督署に労災認定されました。
ちなみに、このビルメンテナンス会社は、上記の問題以外にも、「労働時間の把握義務違反」「休憩時間を与えない」「未払い賃金」「条件を満たしているにもかかわらず雇用保険に加入させない」など多くの問題を抱えており、『総合サポートユニオン』から改善要求されています。
労災休業中に会社から退職勧奨された場合は、まず相談を!
仕事中に労働者がケガをして休業することになった場合、会社はその労働者を辞めさせ、他の労働者を雇うことを考えるでしょう。
しかし、労働者保護の観点から、会社は労災休業中の労働者を簡単には解雇できません。
労働者が業務中に傷病を負った場合、労働基準法第19条の解雇制限により、その療養のために休業する期間及びその後30日間は解雇できないことになっています。
ただし、会社保護の観点から、使用者が平均賃金の1200日分の打切補償を支払えば、解雇可能です(労働基準法第81条)。
平均賃金1万円とすると、1200万円になるので、払える会社はそう多くなく、厳しい条件であることが分かるでしょう。
また、療養開始後3年と傷病補償年金の受給で打切補償を支払ったものとみなされて(労働者災害補償保険法第19条)、解雇制限が解除され、会社は労災休業中の労働者でも解雇できるようになります。
上記の通り、業務中の傷病で休業することになった労働者の雇用はしっかり確保されているので、使用者が法律を無視して退職勧奨してきても応じる必要はありません。
もし、不当な退職勧奨を受けた場合は、労働基準監督署などに相談してください。
そして、労災保険の手続きをしてくれない場合は、自分で手続きすることも検討しましょう。
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