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二次健康診断等給付


二次健康診断等給付は、「過労死」等の原因である脳血管疾患・心臓疾患の予防を図るために、平成13年4月1日より行われている保険給付です。

業務災害に対する保険給付、通勤災害に対する保険給付とは別のものとして位置づけられており、実際には現物給付の形で行われます。

なお、特別加入者には労働安全衛生法の適用がないため、二次健康診断等給付は行われません。

二次健康診断等給付の支給要件

二次健康診断等給付は、一次健康診断(雇い入れ時の健康診断・定期健康診断等)において、血圧検査、血液検査その他業務上の事由による脳血管疾患及び心臓疾患の発生にかかわる身体の状態に関する検査を受け、そのいずれの項目にも異常の所見があると判断された場合に、当該労働者からの請求に基づいて行われます。

ただし、すでに脳血管疾患又は心臓疾患の症状を有すると認められる場合、二次健康診断等給付は行われません。

この場合、代わりに、療養補償給付等が行われます。

二次健康診断等給付の内容

二次健康診断等給付は、以下の2つから成り立っています。

二次健康診断
脳血管及び心臓の状態を把握するために必要な検査であって、医師による健康診断のことです。この二次健康診断は、1年につき1回に限られています。

特定保健指導
二次健康診断の結果に基づき、脳血管疾患及び心臓疾患の発生の予防を図るため、面接により行われる医師又は保健師による保健指導のことです。この特定保健指導は、二次健康診断ごとに1回に限られています。特定保健指導には、栄養指導・運動指導・生活指導がありますが、二次健康診断の結果、すでに脳血管疾患又は心臓疾患の症状を有すると認められる場合、特定保健指導は行われず、代わりに、療養が行われます。

二次健康診断等給付の手続き

通常、労災保険の保険給付に関する事務は、所轄労働基準監督署長が行いますが、二次健康診断等給付に関する事務は、都道府県労働局長が行います。

実際には、一次健康診断を受けた日から3ヶ月以内に、請求書を健診給付病院等を経由して所轄都道府県労働局長へ提出します。

この健診給付病院等とは、「社会復帰促進等事業として設置された病院・診療所」または「都道府県労働局長の指定する病院・診療所」であり、療養の給付を行う指定を受けた病院等とは違うので注意してください。

請求書に添付しなければいけない書類
・一次健康診断において、いずれの項目にも異常の所見があると診断されたことを証する書類
・請求書及び上記書類が、一次健康診断のものであるという事業主の証明書


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