労災保険給付と社会保険の調整
同一の事由による障害や死亡が原因で、労災保険の保険給付と他の社会保険(国民年金・厚生年金保険)の給付が行われる場合、一部を除き、労災保険給付が減額調整されます。
あくまでも、同一の事由に限られますので、老齢基礎年金・老齢厚生年金は調整の対象となりません。
年金の調整
同一の事由によって労災保険の年金たる保険給付と他の社会保険の年金給付が支給される場合、他の社会保険の年金給付が全額支給され、労災保険の年金たる保険給付は次の率を乗じた額に減額されます。
障害(補償)年金の減額
・障害(補償)年金 0.73 – 障害厚生年金及び障害基礎年金 全額
・障害(補償)年金 0.83 – 障害厚生年金 全額
・障害(補償)年金 0.88 – 障害基礎年金 全額
遺族(補償)年金の減額
・遺族(補償)年金 0.80 – 遺族厚生年金及び遺族基礎年金 全額
・遺族(補償)年金 0.84 – 遺族厚生年金 全額
・遺族(補償)年金 0.88 – 遺族基礎年金 全額
傷病(補償)年金の減額
・傷病(補償)年金 0.73 – 障害厚生年金及び障害基礎年金 全額
・傷病(補償)年金 0.86 – 障害厚生年金 全額
・傷病(補償)年金 0.88 – 障害基礎年金 全額
ただし、
「調整後の労災保険の年金額 + 社会保険の年金額 < 調整前の労災保険の年金額」
となる場合は、「調整前の労災保険の年金額 – 社会保険の年金額」が労災保険の年金額とされます。
休業(補償)給付との調整
同一の事由によって休業(補償)給付と障害基礎年金及び障害厚生年金が支給される場合、休業(補償)給付が次の率を乗じた額に減額され、障害基礎年金及び障害厚生年金は全額支給されます。
休業(補償)給付の減額
・休業(補償)給付 0.73 – 障害厚生年金及び障害基礎年金 全額
・休業(補償)給付 0.86 – 障害厚生年金 全額
・休業(補償)給付 0.88 – 障害基礎年金 全額
ただし、
「調整後の休業(補償)給付 < 調整前の休業(補償)給付 – 社会保険の年金額 × 1/365」
となる場合は、「調整前の休業補償給付 – 社会保険の年金額 × 1/365」が休業(補償)給付の額とされます。
一時金との調整
同一の事由によって障害(補償)一時金と厚生年金保険の障害手当金の受給権が発生した場合、障害(補償)一時金が全額支給され、障害手当金は支給されません。
関連記事
労働災害の発生について、事業主に民事損害賠償の責任がある場合、民事損害賠償と労災保険給付の間で、次のように調整されます。 どちらの請...
業務災害、通勤災害が第三者の加害行為によって生じた場合、その第三者から損賠賠償が行われます。 労災保険では、この損害賠償と保険給付を...