福島第一原発で過労死!残業122時間働かした会社は?
いわき労働基準監督署が、福島第一原発で仕事中に亡くなった男性に対して、2018年10月16日に、過労死の労災認定をしていたことが、2018年11月5日に明らかになっています。
当時57歳だった猪狩忠昭さんは、自動車整備士として、福島第一原発敷地内に放置された車両の点検・整備を担当していました。
しかし、亡くなる1ヶ月前に、妻に動悸を訴え、数日前に、友人に「しんどい」と話すようになると、2016年10月26日午後1時頃、福島第一原発敷地内で倒れ、午後2時36分に搬送先の病院で死亡確認されたのです。
死因は、短時間で命を落とす可能性がある『致死性不整脈』でした。
タイムカードを調べたところ、亡くなる前1ヶ月間の残業は122時間で、亡くなる前6ヶ月間の月平均残業時間は110時間を超えていることが判明。
会社で定められている所定労働時間は、8時から17時までですが、猪狩忠昭さんは、4時半に出社していたそうです。
働いている場所が場所なだけに、働き手が少なく、また、猪狩忠昭さんの責任感も強かったのでしょう。
2018年3月、遺族がいわき労働基準監督署に労災申請し、「発症前2ヶ月間ないし6ヶ月間に、1ヶ月当たりおおむね80時間」「発症前1か月間におおむね100時間」と定められている『過労死ライン』を超えていることで、2018年10月16日に過労死の労災認定を受けました。
今までにも、福島第一原発では、「2011年5月に心筋梗塞で亡くなった作業員」や「肺がんで亡くなった50代男性」が労災認定されていますが、長時間労働に伴う過労死での労災認定は今回が初です。
そして、「他の犠牲者を生みたくない」という正義感を持った妻の記者会見により、猪狩忠昭さんの氏名等が明らかになっています。
いわきオール株式会社
猪狩忠昭さんは、市内の自動車レンタル会社『いわきオール株式会社』で勤務していました。
会社名 | いわきオール株式会社 |
---|---|
住所 | 福島県いわき市小名浜住吉字飯塚58-1 |
電話 | 0246-58-5800 |
営業時間 | 8:00~17:00 |
定休日 | 日・祝祭日・指定日 |
事業内容 | 中古車・建機等の買取、輸出、販売、レンタル業 |
猪狩忠昭さんの妻が記者会見で訴えた「元請け任せにせず、作業員の勤務実態を適切に把握してほしい」という言葉を、今後は守ってもらいたいです。
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