労災保険(労働者災害補償保険)の保険給付とその仕組みをわかりやすく解説いたします。もしもの業務災害・通勤災害にご活用ください。
よくわかる労災保険
HOME » 労災ニュース » 新日本理化の元従業員、膀胱がんで労災認定される

新日本理化の元従業員、膀胱がんで労災認定される


2018年8月21日、化学メーカー『新日本理化』の徳島市にある工場の元従業員(70歳)が、オルト―トルイジンによる膀胱がんを発症したとして、徳島労働基準監督署に労災認定されたことが明らかになりました。

男性は、1992年から2002年までの10年間、オルト―トルイジンの製造作業に携わり、2016年2月頃、膀胱がんであることが判明。

2016年4月に摘出手術を受け、労災申請していました。

『新日本理化』では、58人が同じ作業に当たっていたとのことなので、その他の人が膀胱がんを発症すれば、同じく労災認定される可能性が高いでしょう。

このオルト―トルイジンとは、染料や顔料、接着剤などに使用される化学物質で、膀胱がんを引き起こすことが分かっており、皮膚から吸収される経皮ばく露や空気中からの吸収が原因のこともあります。

有名な事例としては、2016年、『三星化学工業』の福井工場で働いていた7人の男性が、オルト-トルイジンによる膀胱がんを発症したとして、労災認定を受けたことがありました。

そして、オルト-トルイジンによる労災認定の基準が、次のように定められるに至っています。

  • トルイジンを扱う業務に10年以上従事し、10年以上の潜伏期間がある場合
  • 従事期間または潜伏期間が10年に満たない場合でも、その他の条件を勘案して判断する

『新日本理化』の元従業員は、従事期間も潜伏期間も10年以上で、膀胱がんの発症もあったので、問題なく労災認定されたわけです。

新日本理化株式会社・徳島工場

膀胱がんで労災認定された元従業員が働いていた、『新日本理化株式会社・徳島工場』の情報は、次のとおりです。

会社名・工場名新日本理化株式会社・徳島工場
住所徳島県徳島市川内町榎瀬1番地
電話088-665-0321

『新日本理化』は、従業員300人以上で、複数の工場を有する大企業です。

化学物質などを加工して、パーソナルケア製品から工業製品まで製造し、幅広い分野で活躍しています。


関連記事

1954年にアメリカが太平洋ビキニ環礁で行った水爆実験により、癌や白血病などの健康被害に遭ったとして、高知県の元船員6人、遺族4人、宮城県...


2018年8月7日、大手居酒屋チェーン『わらわら九大学研都市駅店』の元店長で、勤務中に亡くなった53歳の男性について、福岡中央労働基準監督...


大阪ミナミのホストクラブ『ブラックパール』で働くホストの男性が、2012年8月1日に亡くなった事件について、2019年5月29日、大阪地裁...


2017年12月26日、蛇紋岩の石綿が原因で肺がんになった埼玉県の造園業の男性が、2017年4月に、熊谷労働基準監督署に労災認定されていた...


東京都内の建築設計事務所に勤務する女性が適応障害を発症し、2019年3月18日付で中央労働基準監督署に労災認定されていたことが明らかになり...



コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

最新記事

労災認定の基準

行為中は通勤でなくてもその後に元の道に戻った時は通勤とみなされる「日常生活上必...

労災認定の基準

出勤・退社時に行うささいな事は逸脱・中断とはみなされず、通勤として扱われます。...

労災認定の基準

飲食店に立ち寄り、その後の帰宅途中で災害に遭った場合は、その時の立場によって通...

労災認定の基準

単身赴任している場合、相応の理由があれば、赴任先住居と帰省先住所の移動中の傷病...

労災認定の基準

仕事の掛持ちで2つの会社の移動中に災害に遭った場合も、条件を満たせば通勤災害と...

労災保険カテゴリー

社労士試験

サイト情報