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社労士試験に独学で合格した勉強方法とテキスト・問題集


勉強

私は、1年9ヶ月間独学で勉強し、第35回(平成15年度)の社労士試験で一発合格を果たしました。

その勉強方法や使用したテキスト・問題集などについて説明いたします。

社労士試験に独学で挑戦している方や、社労士試験受験に向けて独学か資格学校か通信講座か迷っている方の参考になれば幸いです。

結論を言うと、独学での社労士試験合格は難しいですが、無理ではありません。

社労士とは?難易度は?

社労士(しゃろうし)とは、正式名称を「社会保険労務士(しゃかいほけんろうむし)」と言います。

労働保険(労働基準法・雇用保険など)と社会保険(国民年金・厚生年金保険など)に精通したプロであり、これらの法律に伴う書類作成や提出などが主な業務です。

社労士は国家資格なので、社労士または弁護士でなければ行えない手続きはいっぱいあります。

難易度を星の数で表現した場合、司法試験や司法書士を5つ星とすると、社労士は4つ星となるでしょう。

私が社労士試験受験を決意した経緯

確か大学3年生の時だったと思いますが、同大学を卒業した女性の社労士の方が、補講の講師を務めました。

数時間出席するだけで2単位もらえるということで、補講の存在を知らなかった私は「これはラッキー」と思い、数種類ある補講の中からできるだけ興味がある授業を選んだ結果、現役社労士が講師を務める補講を受講することになったのです。

実際に補講を受けてみると授業内容は興味深く、余談として説明された社労士の仕事内容にも興味を持ちました。

「興味を持った方は社労士試験に挑戦してみてください!」と締めくくられたその補講を終え、社労士試験に挑戦したい気持ちはあったものの、その後、行動を起こすことなく時が過ぎます。

就職活動中に法律事務所の説明会に行った際は、「社労士の資格を持っていれば良かったなぁ」と思いましたが、結局、説明会に行っただけで終わりました。

こうして、法律に全く関係ない人生を歩むことになった訳ですが、30歳目前で何となく社労士の資格について思い出し、「挑戦しなければ後悔する」と思って社労士試験に挑戦する決意をしたのです。

社労士試験の受験資格

社労士試験を受験できる人を簡単に説明すると、次のとおりです。

  • 大学・短大・高等専門学校を卒業している人
  • 大学在学中の者または退学者で、62単位以上修得している人
  • 3年以上の実務経験がある人
  • 行政書士試験や弁理士試験、公認会計士試験などの国家試験合格者

詳しくは、全国社会保険労務士会連合会試験センターが運営している『社会保険労務士試験オフィシャルサイト』でご確認ください。

なお、社労士試験の受験申し込みには、卒業証明書や卒業証書の写しなどが必要です。

卒業証書を自宅やコンビニのプリンターでコピーすれば、手軽で費用も抑えられます。

私は、卒業直前にもらって大切に保管していたプリントを見て、大学の学生課に卒業証明書の郵送をお願いしました。

返信用の封筒に多めの切手を貼ったところ、律義にも定額の切手に貼り直し、差額の切手が封筒の中に入っていたことを今でもよく覚えています。

大学の職員の方にはご迷惑をお掛けしました。感謝です。

社労士試験に独学で挑戦するメリット

社労士試験独学挑戦のメリット

  • 受験費用を抑えられる

独学のメリットとしては、これくらいしかありませんね。

社労士の通信講座でも10万円前後の費用が必要ですが、独学なら参考書と問題集の約1万円で済みます。

社労士試験に独学で挑戦するデメリット

社労士試験独学挑戦のデメリット

  • 法律用語などを理解するまでに時間が掛かる
  • 余計なことまで覚えなければならない
  • 仲間や相談相手がおらず、孤独の中で挫折しやすい

社労士試験は数多くの法律から出題されるので、ただでさえ覚えることが多いのに、無駄なことまで覚えるのは辛すぎます。

根性がない人は、資格学校や通信講座を利用すると良いでしょう。

条件を満たせば、雇用保険法の教育訓練給付金制度を利用して、受講料を安く抑えられます。

孤独の問題ですが、私が受験した時は社労士受験者用のサイトや集うサイトがほとんどなかったものの、今はそういったサイトがあるので解決できるはずです。

私が使用した社労士試験のテキスト・問題集

社労士試験の受験を決意した私は、本屋に直接行って基本書となるテキストが必要であることを認識し、どれにしようか片っ端から中を確認しました。

当然ですが、中に書かれてあることは全て同じです。

しかし、どのテキストを選ぶかで合否を左右するかもしれません。

慎重になって1時間以上悩んだ末に、「分厚い」「テキストが多く積まれている」「講師として多くの合格者を出している」「予想問題集もある」ことを理由に、秋保雅男さんの『うかるぞ社労士2002』(3,900円+税)を購入しました。

現在、『うかるぞ社労士』シリーズは絶版となり、『ごうかく社労士 基本テキスト』に生まれ変わっています。

そして、ある程度理解した段階で、予想問題集と過去問題集も購入しました。

私が購入した時は、予想問題集と過去問題集が別々でしたが、今は一冊にまとめられているようですね。

さらに、試験の数ヶ月前に『うかるぞ社労士SRゼミ直前模擬試験』も購入しました。

私は1年9ヶ月間独学したので、上記セットX2で、約2万円をテキスト・問題集に費やしました。

私の社労士試験勉強法

社労士試験のテキストを購入した私は、何をどう勉強すれば良いか分からない状況で、とりあえず全てのページを書き写すことにしました。

ルーズリーフの片面にだけ書き写し、約1ヶ月経ってやっと終わったのですが、驚くことに、書き写しただけで全く覚えていないし、理解していなかったのです。

書き写しは完全に無駄な作業でした。

絶望の中、「どうやって勉強すれば良いのか?」「諦めるか?」「いや、今まで費やした時間がもったいない」「ここでやめたら後悔する」と自問自答し、社労士試験の勉強を続けることにします。

ただ、社労士試験の勉強方法が分かりません。

そこで、一か八か、読んで読んで読みまくることにしました。

900ページ以上あるテキストを実際に読んでみると、最初は全く理解できなかったものの、3~5回読んだ時点でかなり理解できるようになり、ひたすら読む勉強法が間違いでないことを確信します。

10回読んだ時点ではほとんど理解でき、「分からないこと」と「覚えられないこと」を重点的に理解して覚えるようにしました。

その後もひたすら読み続け、30回以上読んだ時点で、予想問題集・過去問題集も並行して解くようにしたところ、受験できるレベルにまで達します。

ただ、どうしても1回の受験で合格したかった私は、スルーして来年の受験に賭けたのです。

これから1年もこの勉強が続くことを考えると、「受験しとけばよかったなぁ」と思わずにはいられませんでしたが、結果的には、翌年に1回の受験で合格できたので今では良かったと思っています。

もし受験して悪い成績だったら、諦めていたかもしれません。

結局、さらに1年間の勉強期間を含め、テキストを80回くらい読み、予想問題集と過去問題集もそれぞれ50回くらい解きました。

読んで理解できれば、読むスピードも速くなるので、1日に100ページ以上でも読めます。

私は、テキストを覚えるように読んでいたので時間が掛かりましたが、その甲斐があり、900ページ以上をほぼすべて暗記しました。

「同じ予想問題集と過去問題集を何度やっても意味がない!」と思われるかもしれませんが、問題を解くことになれる上で必要不可欠であり、特に、過去問題集は数問ですが類似問題が必ず出題されるので、必ず何度も解きましょう。

場合によっては、ほとんど同じ問題が出題されます。

社労士試験は1点に泣く可能性があるだけに、出題される可能性が高い予想問題集と過去問題集を疎かにできません。

最後に、私の社労士試験勉強法をまとめておきます。

独学で一発合格した私の社労士試験勉強法

  • 基本書であるテキストを何度も読む(80回くらい読んだ)
  • 予想問題集・過去問題集を何度も解く(それぞれ約50回解いた)
  • 法改正については、テキストや問題集の後ろにあるハガキを利用して入手した
  • 試験直前に『うかるぞ社労士SRゼミ直前模擬試験』を購入して実力を試した
  • 選択問題の一般常識対策として、ニュースや新聞の関係しそうな部分のみ読んだ

嘘偽りなく、上記の勉強で社労士試験に一発合格しました。

社労士試験当日の状況と試験の出来

9,000円の受験料を払って申し込み、勉強を開始してから1年9ヶ月後、やっと社労士試験の日が訪れました。

社労士試験は、8月の第4日曜日に開催されますが、会場が限られているので、人によっては宿泊しなければなりません。

私は、名古屋の名城大学で受験しました。

もちろん、服装は自由で構いません。

雰囲気としては、大学受験を思い出すと良いでしょう。

午前は選択式で、労働に関する一般常識・社会保険に関する一般常識が全く自信がなくて「落ちた」と思いました。

昼ご飯を持って行かず、外食する気もなかったので、トイレに1回行った後はずっと椅子に座って「落ちた」「1年9ヶ月が無駄になった」「もう1年勉強を続けるか?」「いや、諦めよう」とネガティブな考えをしながら休憩時間を過ごしたことを今でも覚えています。

その落ち込んだ気分のまま、午後からの択一式を受け、択一式も自身がなくなりました。

こうして、完全に不合格を確信した私は、多くの受験生の流れに乗って帰宅したのですが、大学の正門で『資格の大原』が解答と講座案内が入ったクリアファイルを配っていたので受け取ります。

『資格の大原』は、試験問題入手係が潜入しており、退出可能時間過ぎにすぐに問題を持って試験会場を出て、講師総出で試験問題を解いているのでしょう。

不合格と思っていた私は、その場で解答を見る元気はなく、帰宅の途につきました。

社労士試験の合格基準

社労士試験の試験科目は、『労働基準法』『労働安全衛生法』『労働者災害補償保険法』『雇用保険法』『労働保険の保険料の徴収等に関する法律』『労務管理その他の労働に関する一般常識』『社会保険に関する一般常識』『健康保険法』『厚生年金保険法』『国民年金法』の8科目です。

選択式は、5つの空欄を語群の単語・文章で埋める問題で、それぞれの科目の配点は1点X5問で5点となり、全科目では5点X8科目で合計40点満点となっています。

択一式は、5肢択一問題で、1問1点の問題が70問出題されるので、合計で70点満点となっています。

合格基準ですが、選択式が「40点中28点以上」かつ「各科目5点中3点以上」で、択一式が「70点中49点以上」かつ「各科目10点中4点以上」なら間違いなく合格です。

この科目ごとの足切りが結構厳しく、合計点は合格基準に達しているのに、足切りで不合格になる人も少なくありません。

ただし、問題が難しくて間違えている人が多い場合は調整が行われ、科目ごとの足切り点が1、2点引き下げられることが多いので、実際はもう少し合格基準が低くなります。

私の社労士試験の結果

帰宅して夕ご飯を食べた後、「いつまでも現実逃避できない」と決意し、解答を確認しました。

まずは、自信のない選択式の一般常識問題を確認すると、労働4点、社会保険3点で、合格基準を満たしていたのでビックリします。

「ひょっとして合格しているのかなぁ?」と思いながら答え合わせを続けると、次々と条件を満たしていくではありませんか。

結局、択一式31点・選択式49点で、科目ごとの足切り点もクリアしていました。

「本当か!?」と思いながら何度か答え合わせを繰り返しましたが、確実にこの点数で間違いなく、マークシートの記入ミスがなければ合格していることを確信します。

ただし、正式に合格したわけではないので、ぬか喜びできません。

そして、11月に合否を知らせるハガキが届き、択一式31点・選択式49点で合格を確認しました。

1年9ヶ月の苦労が報われた瞬間です。

その後、合格証書が送られてきて、再び合格を実感すると共に、「苦しい勉強から逃れられる」と安堵したことを今でもよく覚えています。

ちなみに、私が合格した第35回(平成15年度)社会保険労務士試験の合格基準は、「選択式が、総得点28点以上かつ各科目3点以上(ただし、労働一般・社会保険一般・厚生年金保険法・国民年金法は2点以上)」「択一式が、総得点44点以上かつ各科目4点以上(ただし、労働基準法及び労働安全衛生法、厚生年金保険法は3点以上)」でした。

おそらく、8割・9割の得点を取って余裕で合格する人はかなり少なく、合格者の多くが7割に集中すると思います。

上記でも述べましたが、1点が重いだけに、予想問題・過去問題を疎かにしないようにしましょう。

社労士試験合格後の事務指定講習

社労士として活動するには、2年以上の実務経験が必要ですが、ほとんどの人がその条件を満たしていないでしょう。

その場合は、77,000円(税込)の事務指定講習を受けることで、2年以上の実務経験に代えることが可能です。

正直、高過ぎる!!

事務指定講習は、通信指導課程と面接指導課程から成り立っており、合格した翌年から受けることができます。

後回しにせず、翌年に受けた方が良いでしょう。

通信指導課程は、教材に書かれてある事例の場合にどのような手続きが必要かを書き、見本を見ながら実際に各種届出を作成する内容となっており、郵送すると現役社労士が添削して返送してくれます。

面倒ですが、合格者なら調べながらできるはずで、例え間違えてもペナルティーはありません。

実際、私はほとんど合っていました。

通信指導課程の後に4日間の面接指導課程が行われますが、「面接」となっているものの、大学の講義のように話を聞いているだけです。

面接指導課程の服装は、私服で構いません。スーツの人も数人いましたが、ほとんどの人がカジュアルな服装でした。

私は、名古屋市千種区にある『ホテル ルブラ王山』で受けましたが、ざっと見で100人以上いたと思います。

面接指導課程は、朝から夕方まで続くので、弁当などを持って行くか、外食するかしてください。

私は、弁当を持って行かず、一人で外食する勇気もなかったので、ずっと飲まず食わずで受けていました。

こうして、4日間の面接指導課程を終えれば、登録して社労士として活動することができます。

ただし、社労士の求人はほとんどなく、社労士事務所などに就職することはほぼ無理なので、勤務社労士として働くことが現実的でしょう。

最後に、社労士試験合格のためのアドバイス

私の社労士合格体験記を読んでお分かりのように、社労士試験に独学で一発合格することは可能です。

しかし、かなり時間が掛かるデメリットがあります。

できるだけ早く合格を目指したいので、出来れば社労士の通信講座などを利用し、合格ノウハウや重要ポイント、勉強方法などをゲットして、効率よく合格を目指した方が良いでしょう。

私みたいに、テキストを全暗記するのは効率が悪すぎます。

何年も同じ勉強を続けるのは誰でも苦痛なので、短期合格を目指すことが必要です。

もし、短期合格できずに諦めてしまったら、記憶にも記録にも残らないので、勉強したことがほとんど無駄になってしまいます。

そんなの嫌ですよね。

したがって、社労士試験合格を目指して勉強している方は、1年以内に合格できるように頑張ってください!


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Comments

  1. m より:

    コメント失礼します。

    テキストは1年目と同じものを使いましたか?

    同じものを買い直しましたか?

    • 管理人 より:

      テキストも問題集も新しい物を買い直しました。

      法改正があるので、買い直した方が良いです。

      今持っているテキストを修正したり、書き加えたりする方法もありますが、かなり面倒なので買い直すことをお勧めします。

      また、新しいテキストを購入しないと、試験直前にもらえる1年以内に行われた法改正の小冊子をもらえないという問題も生じるので、約4千円を費やして新しいテキストを購入してください。

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